どこかで春が

 いつになれば暖かくなるのだろう。四月最後の週末にさよならしても、風は一向に冷たいまま。春が来ていても、見つけられないまま。季節に似合わない寒さに打ちひしがれ、ふと一年前のいまごろを思い返した。はじまりのようでもあり、とっくに始まっていたような気持ち。変わったこと、変わらないこと。強くなったこと、よわくなったこと。その一線上で、募り続けること。時の流れを確信しても、まだまだ届かない中間地点の中間地。しかし、ここでうかうか思惑にひたってるばかりじゃいられない、と惑う。眠りにつく前に、足を踏み入れた場所の瞬間と、風景の断片をひとつひとつ頭のなかで繋ぎとめてゆく。素朴な布切れもパッチワークすると色鮮やかな一枚の布になるのならば、それが私にとっての、ライナスの毛布であるのだろう。しのいで。越えていける。
 そうして自転車に乗って坂道をくだれば、前輪がとつぜん破裂した。爆竹のように鮮烈な破裂音でした。しまいに白い煙が出た。裂けたタイヤの交換代金、5000円也。思わぬ出費に懐も痛んだ。まさか自転車が破裂するなんて、さすがに一年前は思いもしなかった。
 思いもしなかった事でいうと、このところツイッターが勢いよく普及されてきている。人の呟きは山のごとし。そんな私もそこの1人。気が付けば始めて1年以上経過していたが、正直自分がこんなに続くと思いもせず、こんなに流行になるとも思いもしなかった。そして気付けばずっと前から私のスペースは鍵をかけている。それに大した意味はなく、最初はその当時大量発生したスパムが煩わしいのと、どんなに些細な呟きでも検索にひっかかって複雑になるのが鍵をかけたきっかけだったはず。今になってみれば、ここの散る日記にしてもミクシにしても、ある程度大っぴらになっている事ですし、ひとつくらい鍵をかけた小さい部屋をウェブスペース上に設けたっていいんじゃないかな、と思っている。私の頭はひとつしかありません。1人という思考回路と時間の上で、たくさんの発言の場があるというのも、なかなか一杯いっぱいになってしまいます。小宇宙にひっそりと潜んでみるというのも居心地が良い。それにツイッタのフォローは他とは違って受動的になりがちで、私が拙い文章を書くにあたって、数よりも誰という人物に読まれていることの方が興味がある為、鍵をかけフォローリクエストというワンクッションを置くことで、決して人を選ぶわけでもないけれど、ひとつひとつ把握する事が出来る在り方が、私の場合は向いているのかもしれないし、受動的であることもツイッタのひとつの醍醐味であるのなら限りなく向いてないんじゃないか、という気もするが、気にしない。とにかくツイッタでは、どこよりも日常的で、取るに足らない短絡なことしか書いてませんが、鍵はかけているけれど見かけたらリクエストなど適当にどうぞ。
 いまインターネットの中にはたくさんのSNSじみたものがあるけれど、ツイッタはコミュニケーションツールとして音沙汰以上メール未満、みたいな感覚が自分の中にはあって、在り方も流動的で結構面白いな、と私は思っています。考えてみれば国内で流行するのも頷けるというか、140文字という文字制限のなかで言葉を呟くというのも、凄く現在の情勢に沿った在り方、なのかもしれない。tumblrも興味があって一度始めてみたが、そもそも情報収集癖というものがたいして無い自分には使い道がない、と気付いてやめた。ミクシは日記を読むのは面白いけどボイスは今ひとつ興味が全く沸かないので基本的に見てない。撮り溜めた写真も多くなってきたのでフリッカーはそのうちやるかも。フェイスブックは今のところ使う必要を感じてない。マイスペースはコーマ用にそのうち作るかも。いろいろとありますが、なんだかんだと言って、結局私はここの日記に回帰するし、ここはある種放牧地みたいなもので、やっぱり必要なのだろう、と思う。
 さて今週末に迫ってきたモスキートでのDJの詳細をお報せします。5月1日土曜日。開場18時、開演18時半より。料金は前売当日共に1000円。バンドはブランコリア、ツインテールと青少年。DJ陣は、モスキの店長でありTGのベース大西さん、我らが現代のベースであり旭川きっての宴会番長の若竹氏、リョウケンさん、ランカーさん、この日の首謀者であり旭川の若い子の中でも稀にみる嗅覚を持った女子高生y、と私の6名です。この日はそんなyちゃんとモスキートによるDJ中心の連動企画シュガーレスプレゼント第1弾。私は初のDJでございます。大騒ぎの予感。素晴らしい1日になりそうです。今年の桜前線がこちらに到着するのはゴールデンウィーク後とのこと。ならば地下室のモスキートで音楽のお花見も粋なもの。ワクワクするよね。ぜひ一緒に楽しみましょう。5月1日はモスキートで、お待ちしております。
 この機会を与えてくださった大西さんから先日のTG愛媛ライブでのお土産を貰いました先日。リアル讃岐うどん。ありがとうございます。
 もうまもなく、怒濤の来月がやってくる。たくさんの予定の傍らで、今月はライブも行かず淡々とした日常をぼんやり過ごしている。自転車の前輪が破裂しても、打ち付ける風が冷たくても、極めてシンプルに過ごす事で、普段は近すぎて見えないようなものも見えるような、そんな気がしている。陽気でもないのに春の陽気に頭が沸いてしまいそう。近所の小川のせせらぎが耳触りよく、聞こえた。中途半端に欠けた月の明かりが綺麗だねえ、と笑った夜空の下の散歩道。家に帰ってアイスを食べた。どんなに好きなチョコミントも、少しでいい。決してたくさんの量はいらないのです。
 あ、どこかで春が、舞っている。