その所以と

 いまから27年前の3月21日、私は生まれた。今年もまた、誕生日をむかえ、またひとつ歳を重ねた。
 春の嵐が吹き付け、家を揺らす程の強い風がごうごうと鳴った日に、27歳になりました。
 二十六の最後の夜は、モスキへ。TG企画ソーシャルギャラリーモスキート。道内各地勢いあるバンド全9組が集結された、怒濤の夜。ディストロも出させて頂いた。釧路から源氏フリークス、元気印から前に音源を貰ってて予々話も伺っていたけれど今回が初見。初期衝動が迸る、これからの可能性を十分に感じた。同じく釧路からのライクアーグメンツは、昨年の釧路出店の時にお世話になったり、それからも旭川でライブをしに来てくれたりと、今やすっかり馴染み深いバンド。あれからの彼らの全ての経験をライブの中で感じ取った。源氏もライクもどちらも大変若いバンド、たくさんの可能性に満ちている。私は可能性を感じるものに強い関心を持つ傾向にあるのだと思う。音楽に限らずあらゆるものに対してもそう、ここから何を得て、どう変わり、そこで何を感じるのか。すべては自分次第。そんな可能性があるからこそ、尚更に面白いのだと思う、何事も。そういう意味を込めて、改めて面白いところだね、釧路。私は27を目前にして、青さを得たのでした。
 そして札幌のウォークとキジは昨年9月のモスキ以来。あの時私は受付やってて落ち着いて観れなかったので、今回はガッツリと観れて良かった。どちらも以前からのよしみで、ちょくちょくライブハウスで会う友達がやってるバンドではあるけれど、贔屓めナシで素晴らしい音楽。ああ、これがやりたかったんだな、と心からニヤリとする。ウォークを観ながら思ったけど、ベースがひたすらに上手い。リズム隊がしっかりしてればしてるほど姿勢がブレることなく映えてみえるな、と思う。後から話を聞くところメタル畑など通ってるとのことで、なるほどな、と。やっぱりメタルを通った人がいるバンドは大体グッとくる、というのはかねてからの持論。核をしっかりと保ちながら、解放し続けてゆくウォーク。すべてを無にする爆発力を持ったキジ。どちらともこれからも何かと接点をもつ機会は幾度だってあるはず、いつか互いに携わり何かしら面白い事が出来たらいいね。道内各地で活動するバンドが一度にこんなに集うのはなかなかない機会。この日はまた新たな繋がりが生まれるきっかけにもなった、そんな気がしてる。今回を経て、それぞれの地でそれぞれが盛り上げてくことで、これからもっと北海道が面白い事になってゆくんじゃないかな。そう、予感と可能性を感じてやまない。
 そんな社交場の一夜の終わりも近づき、旭川の真髄ジョニーボーイズ。27をむかえる前にジョニーさんのライブが観れたこと。あまりにも最高でした。これからも、勇気を忘れずにどんな時も、自分の信じる道を突き進んでいこう。そんな莫大な力を貰った。それにしたって感激すぎた、物販の片隅で泣きそうになった。そして最後を飾るのは主宰TG、キレッキレな良いライブ、抑えきれない圧倒的な存在感が、TGのなかにあると思う。これからもその背中を見続けて、私も頑張ろう。
 アンコールの神or魔神をやっているその瞬間、私は27歳をむかえました。
 大好きな音の中で、歳をむかえるのはなんて幸せなことだろう。
 モスキ現地、メール、手紙、電話、ウェブ、あらゆる媒体を通して。たくさんの方から、誕生日おめでとう、の言葉を頂きました。そのひとつひとつがとっても嬉しくて、感謝してやみません。本当に、ありがとうございます。モスキ打ち上げのあと、頂いたたくさんのプレゼントを持ち、家へ帰ると、その手荷物の重さ以上に、なんだかじんわりとくるものがあった。ああ、常に音楽と共に私がいて、ここで生きていけてる…。
 私が生まれ、私と出会えた事を、心から嬉しく想ってくれるひとたちが、こんなにたくさんいるんだ。生きていてよかったって、そう思った。距離が離れても離れていなくても、いつもそばに居てくれる友達に、私は今までどんなに支えられてきたことだろう。みんなに出会えてよかったなって、そう思ったんだ。これからも、そんな周りの人達を大切に感謝の気持ちを胸に抱きながら。ずっとずっと大切な人や大好きな音楽とともに、生きていきたい。
 心から、ありがとうね。みんなみんな、大好きだ。
 私の誕生日も明けた22日は、私のおばあちゃんの誕生日。今年は米寿お祝いの食事会をした。しかし、米寿と言いながらおばあちゃん今年で89歳なんです。またしても、数々の前例に沿って、そういえば去年米寿でした、と4日前に気付くという相変わらずのユルさをみせた我が家。しかも会食時間に親戚一家、遠くに買い物に行ってる、という自由具合までオマケされた。何はともあれ、おばあちゃん、あなたが生まれてきたから私がここにいるのです、本当にありがとう。そして私の体調などこれまでたくさん心配をかけてごめんなさい。私は物心つく時から今に至るまで両親共働きなのもあって、すっかりおばあちゃん子なのです。いつも何事も飄々としている私のおばあちゃん、あなたがいないとすべてが成り立たない。89歳おめでとう。どうかこれからも、健康で、長生きしてください。
 多幸感にあふれながら、私はいまを生きている。たくさんの思いを胸に抱きながら。ここから先、さまざまなことがあるだろう、その上でいろいろな変化もあるだろう。私はこれからどうなるのだろう。年々、歳をとることが楽しみになってく自分がいる。私がどこにいようとも、どうあろうとも、丁寧に、日々を歩んでこう。のらりくらり、しっかりと。
 これからも、ずっと。よろしくね。