ナイト・オン・ザ・プラネット

 押し迫る年の瀬に、積もり重なる雪が横殴り。
 身体の芯から冷え込む夜は、お風呂場のラジオでジェットストリームを聴きながら長々半身欲するのが近頃のちょっとしたマイブーム、になりつつある。お風呂は長い友達。ラジオのチューニングを合わせれば、湯船は空想旅行の旅客機となり、乗客はどこへだってゆける。
 年末年始を挟むその前に、耳鼻科へ通院。いつもの聴力検査。感覚的に、少しは快復しているかな、とちょっとだけ手応えを感じるも、検査結果はそんな期待に反して線グラフは折れる事もなく平行線を辿る一方。悪化していないだけまだマシだが、結局あの感覚は慣れてきた、ということか。慣れることは忘れることと少し似ているように思える。そして、ときどきやる脳波聴力検査にドキドキする。病院の地下のいちばん奥にある暗闇のABR検査室、そこにあるソファに全身を預ければ、頭にたくさんの線を繋げられ、薄明かりの向こう側で白衣姿の検査師さんが機械を操り、ヘッドフォンから物凄い速さでクリック音が駆け巡ってゆく。その様はまるで、いつかの過去に誰かが思い描きあげた近未来みたいで、人造人間の気持ちになる。
 もうあと一週間もしないうちに、2010年はやって来る。ニセンジュウ、という言葉の響きだけで近未来のように思える。子供のころ思い描いていた2010年は、空も飛べて、遥か宇宙を容易に越えることだって出来るのだろう、と思っていた。いざ2010を目前に控えてみて、未だにそんな兆しはないけれど、空想世界からはほど遠い近未来の姿を、ずっと過去に誰が想像していたのだろう。ねえ、あなたが思い描く近未来はどんなのだった?おしえて、あなたの未来。
 近未来はいつだってどんな姿も輝かしくて。だから現在の平衡を保てているのかもしれないね。そうしてそんな現在、いいだけ年の暮れを迎えているけれど、まだ、2009を振り返るのは少し早い気がする。いろいろなことがあったから、言葉にまとめるのは大変。後程、改めて書くとします。
 一足遅れて、メリークリスマス。