パレードの最後尾

 こじらせるだけこじらせた気がする。
 近頃、何かといろいろな事があり過ぎて、ひとまず落ち着いたところで身体が悲鳴をあげた。先月末の貧血は単に序章に過ぎなかった。とはいえ前回の日記を書いてる時点で既に発熱してたのは身に覚えがありますが、10月に入ってすぐ風邪をひいた。
 以後は寝込み続け、こじらせのオンパレード。風邪から気管支炎気味となり、そこから中耳炎による突発性難聴、という診断。で、シメ、たい。
 現在は、咳と耳以外はなんとか治まって、耳鼻科の通院のみに至る。
 高熱を出して病院に罹りつけるも、インフルパニックまっただなかで散々足蹴にされ、いざ診察となればニシヤマハルサンと呼ばれ、トドメを刺され、本来なら笑えるところが、体調の悪さも相俟って、結構どうでもよくなりながら内心へこんだものの、インフル検査は陰性だっただけまだ幸いなのか。それにしたって、どのみちこじらせ過ぎたような。あの病院には二度と罹ることはないような。
 しかし、高熱にウナサレ、自己幽閉して引きこもざるを得なかった5日間ほどの時間は、皮肉にも不意に訪れた感覚的に久々の安息だった。窓からひっそり覗いた十五夜の月は眩しかった。一人病床に就いていると、ろくな方向にしか物事を考えられない。それでも、落ち着いて休養を取りながら、熱で沸きあがった頭で最近のいろいろな事をふり返って考えたら、想像を絶する幸せの余韻と、想定外の疲労の蓄積を痛感した。
 身体のダルさでまともに座る事も侭ならず、寝て薬飲んでポカリ飲んで寝て薬飲んでポカリ飲んで薬飲んで寝て寝て寝て…をひたすら繰り返し、徐々に回復していく実感は退屈へと変わり、増徴するその孤独感だけで未確認生命体の一匹でも作れそうで。
 なんとか熱も下がり、いよいよ外に出るも、感動もそこそこに病み上がりには厳しい寒さに打ちひしがれ、暫く外に出ていない間に雪虫が飛びはじめていて驚いた。そんな外に立ち戻ったところで、すっかり世間について行けず、元々ついて行けてるのかは定かではないが、ひょっとしてここはいま19月くらいで、私だけ10月にいるのではないだろうかと。秋眠からふと目が覚めたら世界にたった一人だけ取り残されてました、みたいな。そんな気持ちになった。
 経てして、いい加減こじらせといてなんですが、散々こじらせたから言えるけれど、何をするにも身体が資本だし、健康であることは本当に本当に大事なことだな、と妙に納得した、痛いくらい。自分自身と向き合うことや、良い状態を保ち続ける為に心がけること、まあ、心身共に。口で言うほど容易なことではないけど、まず最低限そういう意識を持たなくてはな、と。それが何かしら能動的になれば尚更良いとも思うし。寒くなってきたけれど、くれぐれも体に気をつけて。
 あなたが健やかでありますように。