旋律を重ねていくように

 そこには、たくさんの久しぶりや、はじめましてがあった。
 東京と山形へ旅をして、私の街へと帰ってきた。再会したその笑顔と共に、そこで得た淡くかけがえのない思いは、ずっと胸に刻まれている。旋律を重ねていくような、本当に幸せな旅だった。広がるその風景の下、そこには、会いたかった人や好きな音楽が確かにあった。たくさんのそれが心底から嬉しかった。再び降り立った地に、ここから始まったんだ、ここがあって現在があるんだ、そう、たくさんのことを思った。何よりも、またね、と言いあって、また次へ繋げられるのも、本当に幸せなことだ。
 帰路へと向かう途中、帰りたくないの気持ちの狭間で揺れて、切なくなって、涙が出た。何か別の事を考えようと必死に頭を巡らせていても、結局到達するのは、帰らなきゃいけないことで、涙を堪えるのに必死だった。最近、本当にわたしどうしちゃったのだろう。こんなに涙脆い人間ではなかったはずなのに。
 だけど、大丈夫。またの再会があるから、きっと大丈夫。
 また会えるから、私はいまを生きていける。
 会えて嬉しかった。本当に、楽しかった。ありがとう。またね。
 そうして、駆け抜けた九月も気付けばもう終わろうとしている。この夜が明ければ、明日になれば、十月になる。日増しに秋も深まり、初雪も降るのだろう。長い長い冬はもう、すぐそこに近付いている。そこにはなにがあるのだろう。
 旭川へ帰ってきてからは、連休最終日にモスキでもぎり、土曜日は現代でライブだった。そのあとは、貧血起こして、なんだか体調が優れないままで、少しばかり寝込んでいる。今日は仕事を早退してしまった。鉄分不足、水分不足、栄養不足、睡眠不足。旋律を重ねるように、欠けたエトセトラをたしていく生活。
 いちばん足りないものは、まだまだ見えない先にある。
 だから、ベッドから抜け出して、よわい自分を乗り越えて、その先へと進まなくては。
 その先に、またの再会があることを願って。また、会いましょう。