明けない夜はない

 吹っ切れた。
 遅れてきた盆休みの終わりと共に、自分に嘘を吐いて苦しみを堪え、自責の念に駆られていた八月にさようなら。冷静になって振り返れば、それは、それは。痛々しく、残酷だった。なぜか他人事のように思い込ませ、ただひたすら呆然としていた。身動きひとつすら、恐怖と驚愕と絶望を覚え、底知れず錯乱してばかりだった。
 やがて気が付くと、お盆を迎えていた。
 連休の始まり、久しぶりに大好きな絵本のお店へ行くことにした。足を踏み入れると、たちまち異世界へ迷い込んだような空間。お嬢さんもどうぞ、とチョコレートを振舞われ、たまたま行われた絵本の読み聞かせをきき、お店を出る頃には癒えるような気持ちになれた。例えば、甘いものを食べるとか、好きな場所へ行くとか、困ったときに何かしらに縋ることで安らぎを得る単純なことすらも私は忘れてたことに気が付いた。
 連休の終わり。困り果てた私を心配して友達が札幌から駆けつけてくれた。止まずにたくさんの話をした、幸せを笑いあい、痛みを泣きあい、考え改めた火曜日の夜。徐々に心が解け、深い沈みから浮上して、ようやく本来へ立ち戻ることが出来た、お盆の終わり。ターミナルで友達を見送りながら、彼女の幸せを願った。
 いまは、憑き物が落ちたようにスッと前を向いている。私は一人だけど独りじゃない、自分を大切にしなければ、そう、支えてくれた人達が教えてくれた。ここまで立ち戻ることが出来たのは、何者でもなく周りのすべての声のお陰に他ならない。これから何があっても私はあなたたちを裏切らない、と改めて心に誓った。何度も感謝をしてもしきれないけれど、本当に、有難う。
 逆境を力に変えてみせる。それしか、私には出来ない。
 けれど、今なら、大丈夫。乗り越えれる、乗り越えてみせる。
 感情を取り戻して、もう来月となった次の旅のことを考えている。心底から楽しみです。またあの地へ行ける、また会える。また行こう、また会いましょう。それだけでも嬉しくなる。この大切な気持ちだけは守れてよかった。
 そのまま素晴らしい9月へ、繋いでいこう。