太陽の印

 連休中、風邪による体のダルさと戦いながら、一つの映画を見た、「霧と砂の家」(asin:B000758XUW)という映画。何かしてなくては駄目な気がして体調不良を堪えて見たのはいいが、どうしようもなく悲しい話だったので、見終えた後こそ気が沈みそうだった。一つの空間を巡り、霧と砂の二つの思いが交差して、互いが互いを遮断しやがて二つが対立に向かうと、そこから平衡が乱れ、全てをも失う悲劇への破壊力になるのかと、考えさせられた。けれど、そこには真正の愛情が確かにあって、その愛情の真っ向さや儚さや脆さにハッとさせられる場面も多く、何度もその悲しみに打ちひしがれた。善悪の区別をするわけでもなくて、帰るべき場所や守りたい人の前では善悪って表裏一体なのかな。非常に悲しいけれど、美しい映画でした。
 この映画とは話は少し違ってくるけども、愛情の傾け方は本当に人それぞれで様々にあるなと最近思ってて。何が正しいのか間違いなのかは私にはよく判らない。その愛情を前にすると第三者の立場になれば到底太刀打ち出来ない事なのかもしれない。むしろ教えて欲しいような気もする。
 と言いますか、先日これまた連休中に、カジノで奈良のロストエイジのライブがあって、私も観に行った。ロストエイジは過去にも何度も旭川でライブしに来てくれているので新譜を引っさげたツアーの度に観れるのが嬉しい、今回で通算4回目?晴れて皆勤賞。この日は釧路から元気印TKSもはるばる旭川に来た。元気印って結構いいあだ名だと名付けた本人は思っておりますが、私だけ勝手につけて呼んで何故か一向に周りに浸透しないのでおかしい。その由来は割と単純で、いつも元気だから、元気印。例えるならお日様みたいな感じ。そんなお日様のように元気な彼女は、予てから生粋にロストエイジが大好きな子で。今回旭川に来たのも、きっと当然のことでしょう。彼女の街、釧路にもう一度ロストエイジがライブしに来て欲しいという思いは、ずっと前から私は知ってる。実現のために頑張ろうとしていることも、私は知ってる。旭川と釧路、同じ道内の地方都市とはいえシーンも環境もだいぶ違ってくるし、毎回そう簡単に実現出来る事ではないのは彼女自身も重々判っているはず。実際今回のツアーに釧路編は組まれてないという事も含めて。それでも尚、元気印の思いの強さは確かなものだ、私には到底敵わない。というか誰一人として敵わないんじゃないかな。全てひっくるめてそんな元気印は本当に凄いな、と私は心底思う。
 で、今回。私は彼女とは離れたところでライブを観てた。離れて観た事に大した意味は無く、ただ私は直前までいつものように友達と話してただけですが。ロストエイジは格好よかった、真っ向に放つ音にグラグラした、人間的なロックスターだ、と思いグラグラしながら観てた。そして、最後に名曲「手紙」をやる前のMCで五味さんが「こないだ釧路のファンの子からメールがきて、そういう離れた地方の方からも僕達の事を支持されているのは有難い事」という類のお言葉を仰っていた。それを聞いた瞬間私はハッとした。もちろん、その釧路のファンの子というのは、元気印の事だというのは一目瞭然。やったじゃん!って、私も自分のことのように嬉しくなって、離れて観てた事に後悔した。今すぐ彼女の元に飛んで行って一緒に喜びたかった。まあ、それは無理なのでその後の「手紙」でテンションを上げ、終わってから、飛んで行った。…時既に遅し、もう感激の号泣しておった。いつも元気な元気印の涙、ワタシ忘れないよ。
 終演後も彼女は頑張ってた。メンバー本人とも話出来ていたし、釧路に来て欲しいという思いも直接ばっちり伝えたんじゃないでしょうか、きっと伝わったはずですよ。本当に良かった、よかったね。元気印。報われたこれからも、もっと頑張れるね。その後、彼女が発した、今日なんか良い事ありそうな予感してたんだよなあ、という呟きを聞いて、最近割と何かと験を担ぐ彼女の勘は実は当たるのかもしれない、と内心思った。その辺はさすが元気の印。今回の日記、ロストエイジのライブの事じゃなくて完全に元気印観察日記になってるけど、気にしない事にする。しかも本人に許可なぞとっていない、とってるわけがない。…気にしない事にする。
 何に愛情の傾けるかは人それぞれ、傾け方は人さまざま。元気印だけじゃなくて、この日同じく札幌から観に来てた旅人さんなんかは、マイウェイマイラブがマイラブな方で、まもなく始まる北海道ツアーのフライヤーを自ら作って各地で配布してたりして、これもまた凄いなあと思う。また話が違うが、id:isawthelightさんはフリーペーパーも作ってるしこれまた凄い、それだけじゃなく色々と尊敬してる方だけど。
 例えば、ファンとか、ファンジンとか、バンドマンとか、ディストリビューターとか、そういう壁のあり方とか枠付けは一切必要も関係もなく、それ以前に同じ人間で。その上で自分の住む街や周りで自分の大好きなバンドや自分のやっている事を盛り上げたい、という思いがあるのは皆同じなのかも。それに対して頑張ってる人は頑張ってる。だから私は凄いなあ、と思うし、やっぱり敵わない。ならば、共有していこう、やっていこう、楽しもう。言ってしまえば単純にライブを観る為にライブハウスに足を運ぶのもまた一つの動きとも言える、友達を誘ってライブを観に行くというのもそう。些細に考えればやり方なんていくらでもあるはず。それは確かに微かな力であるかもしれないけれど、せめて周りくらいは変えられる事が出来るはず。10億分の1の力でも何かを変えられる莫大な力にもなるんだと私は信じている。伝わることを信じている。まあ、ナノのことだけじゃなくて、私も頑張ろ、色々と。
 そう、思ったところで、風邪もようやく治りました、治しましたよ。