墓場の手土産

 何かにつけてうわの空でいるけれども、何せ普段からこんなものだし特別気にも留める事も正す事もない。が、仕事中、いつもの様に物思い耽りながら勤しんでいると、不覚にも物思いの深みに嵌ってしまい、ハッとして我に返ると、今ここが何処なのか、今私は何をしているのか、それすら全然判らなくなって困惑した。なるほど頭が真っ白になるとはまさにこういう事か、と状況をぼんやり実感したところで、決して焦らず冷静装いながらふと手元の仕事を見直してみると、順序も滅茶苦茶なもんで驚いた。一人密かに速やかにきちんとやり直して事無きを得たものの、前後不覚になる程の事は滅多に無いので、さすがに反省しながら家に帰った。注意力散漫、集中力欠如、全くいつぞやの通知表かと。
 ただでさえ、最近胃の調子があまりよろしくないっていうのに、あまりに寒いので辛い物ばかり買い込んで食べていたが、案の定、その後気を失うように眠るまでの間、胃が猛烈な悲鳴をあげてホトホト辛酸を舐めた、のが昨日のこと。天井が回っているのに気付いたのは久しぶりだ。さすがに、チゲスープにレッドカレートムヤムクン、お菓子にハバネロは本気でやり過ぎた。楽しいのは食べている時だけ。魅力的に思うのは食べる前だけ。こういう事はたまにある、いい加減懲りればいいのに。
 まあ、そんな事はどうでもいい。うつつを抜かして笑ってられない時もある。
 、、さて。どうしよかな。墓場の手土産がまたひとつ増えた。
 でも、それもまたどうでもいいのかも。
 どうしようかな。