蘇生と幻

 足取りをすっかり忘れてしまったね、取り戻せない。今までどんなふうに歩いてたか全然よくわかんない。時には酩酊という手段を借りることもあろう、時には夜を仰ぐこともあろう、脳の中で風景が広がった明け方。安心するほど風景が広がった。呼吸と鼓動を実感して聞こえるはありえないくらい混沌すぎる、鳥の、声。
 はあ、生き返った。うん、よし。もう動ける。幻だけは無性によわい自分。