手記

 本人は自分は完璧であると言い張る狂った彼女を「その場所」に入れさせれば、こちらはこちらで、彼女の不在によってもたらされた、とにかく欲しかった平穏な日常がようやく帰って来るんだろう。平穏であることに久しく生を見出すことだってできる。しかし、あろうことか私は私で、その平穏な未来を想像してしまう度に、彼女の不在によってもたらされた混乱と恐怖に駆られる。
 もしかすると本当に異常なのは、彼女を「その場所」に入れさせるこちら側の私達なのか?
 彼女は狂ってないのか?
 そう思えるのが華か、末期か。何が間違っていて、何が正しいのか。だけれども、じゃあ「その場所」に入れる以外で健全な?行動はあるのだろうか。あったとしても、出来るんだろうか、これまで彼女が起こした事を防ぐことができるだろうか。私はまんまと彼女に踊らされてんのか?麻痺してんのは私か?私だけなのか?馬鹿らしい。本当に苦しいのは私じゃなくて彼女の子供達、そして家族じゃあないの?当たり全体互いの正当化を擦り付け合って複雑になる。もうよくわからない。だけども、もうこれ以上猶予はない。だからひとまず彼女に悟られることなく陰湿かつひたすらに、私は彼女の武器のひとつである「ある回線」を切断することを計画する。二等兵以下の自分。なにやってんだか。もううんざりだ!!ファックファックファックあーくだらない。笑えない。
 戦いは続く。時間は唯一狂いなく進むよ。一刻と秒を読みはじめ、もう何日経ったんだろう。